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なぜドイツ御三家は”考え方”が違うのか|BMW・ベンツ・アウディの設計哲学【2025年版】

なぜドイツ御三家は”考え方”が違うのか

BMW・メルセデス・ベンツ・アウディの設計哲学【2025年版】

最終更新日:2025年12月 | カテゴリー:設計思想・ブランド比較
「BMW、ベンツ、アウディ。どれも”ドイツ車”なのに、なぜこんなに乗り味が違うのか?」──この疑問の答えは、100年以上続く、それぞれの設計哲学の違いにある。

カタログスペックを見れば、3社とも似たようなエンジン、似たようなトランスミッション、似たような電子制御を使っている。しかし実際に乗り比べると、BMWは”キビキビ走る”、ベンツは”どっしり落ち着く”、アウディは”すべてが精密”──まるで別の惑星で作られたかのように、性格が違う。

その理由は単純だ。3社は、クルマに何を求めるか、という根本的な思想が違うのだ。

この記事では、2025年最新のモデルと技術動向を踏まえながら、BMW・メルセデス・ベンツ・アウディの設計哲学の違いを、エンジニア視点で徹底解説する。

目次

BMW:「駆け抜ける歓び」を電動化時代に再定義する

ノイエ・クラッセ ──BMWの”革命”

2025年、BMWは「ノイエ・クラッセ」という新時代の幕開けを宣言した。

1962年、BMWは倒産寸前だった。その危機を救ったのが「ノイエ・クラッセ(新しい階級)」と名付けられた1500というセダンだ。このクルマは、高級車でもファミリーカーでもない、「運転する歓びを追求したスポーツセダン」という新しいジャンルを切り拓いた。

そして2025年、BMWは再び「ノイエ・クラッセ」の名を冠した新世代EVプラットフォームを発表。第1弾となる新型iX3は、800kmの航続距離、400kWの急速充電、そして「Heart of Joy(歓びの心臓)」と名付けられた独自のドライブトレイン制御システムを搭載する。

BMWの哲学: 「ドライバーオリエンテッド(運転者中心)」
すべての操作系、視界、重量配分、サスペンション──あらゆる要素を「運転する歓び」のために設計する。

物理スイッチへのこだわり

2025年のiX3でも、BMWは物理スイッチを残している

ワイパー、ウインカー、ミラー、音量──これらは「ハプティックスイッチ(触覚フィードバック付き物理ボタン)」として残され、タッチ操作と併用できる。

理由は明確だ。運転中に視線を画面に移さなくても、手の感覚だけで操作できるようにするためだ。BMWは「運転に集中できる環境こそが、安全につながる」という信念を、電動化時代でも貫いている。

4つの「スーパーブレイン」──演算能力20倍の衝撃

ノイエ・クラッセの最大の革新は、従来の20倍以上の演算能力を持つ4つの高性能コンピューターを搭載したことだ。

これにより、ドライビング・ダイナミクス、自動運転、インフォテインメント、コンフォート機能が統合され、「BMW ダイナミック・パフォーマンス・コントロール」によって、従来は不可能だった「ダイナミズム、正確性、効率性」の三位一体が実現する。

メルセデス・ベンツ:「最高か無か」──妥協なき高級化戦略

創業者の言葉が今も生きている

「最高か無か(Das Beste oder nichts)」──メルセデス・ベンツ創業者カール・ベンツのこの言葉は、140年以上経った2025年も、同社の哲学として脈々と受け継がれている

2025年、ベンツは大きな戦略転換を実施した。Aクラス・Bクラスを廃止し、「量より質」を重視する高級志向へ舵を切ったのだ。

ベンツの哲学: 「安全と快適性の最大化」
どれだけ速く走れるかよりも、どれだけ安心して、快適に移動できるか。それがベンツの価値基準だ。

MMAプラットフォーム──「革命」と呼ばれる理由

2025年3月に発表された新型CLAは、メルセデスが「単なる進化ではなく、革命だ」と断言するモデルだ。

その理由は、全く新しい「MMA(メルセデス・ベンツ モジュラー アーキテクチャ)」プラットフォームを初めて採用したこと。Cd値0.21という驚異的な空力性能、15分の急速充電で約300kmの走行が可能な充電速度、そして「スーパースクリーン2.0」と呼ばれる次世代インフォテインメントが搭載される。

リアアクスルステアリング──5mの巨体が小回りする

2025年モデルのSクラスには、後輪も操舵する「リアアクスルステアリング」が搭載される。

全長5mを超える巨大セダンでありながら、後輪が前輪と逆方向に切れることで、驚異的な小回り性能を実現。これは「ドライバーの負担を減らす」というベンツの思想そのものだ。

「ウェルネス」という贅沢

ベンツが2025年モデルで導入した「ウェルネス機能」は、香り、音楽、マッサージ機能、照明が連動して乗員のリラクゼーションを促進するシステムだ。

「移動中の電話会議でもクリアな音声」を実現する最新の防音技術と合わせて、ベンツは「静寂」と「快適性」という、目に見えない贅沢を追求している。

アウディ:「Vorsprung durch Technik」──技術で先を行く

Strive for Clarity ──明快さの追求

2025年9月、アウディはミラノで新しいデザイン哲学「Strive for Clarity(明快さの追求)」を発表した。

「徹底したシンプルさが私たちのアプローチの核心です。すべてを本質にまで減らすことで、私たちは明快さを実現します」──チーフクリエイティブオフィサー マッシモ・フラスケッラの言葉は、アウディが「装飾ではなく、構造で美しさを作る」ブランドであることを示している。

アウディの哲学: 「Vorsprung durch Technik(技術による先進)」
最新技術を誰よりも早く実用化し、それを洗練されたデザインで包み込む。それがアウディの DNA だ。

quattro ──4WDの代名詞を作った執念

1980年、アウディは「quattro」という4WDシステムでWRC(世界ラリー選手権)を席巻した。

2025年現在も、アウディの4WDは「常時全輪駆動」を基本とし、BMW(FR+4WD)やベンツ(安全性重視の可変トルク配分)とは根本的に考え方が違う。

アウディの4WDは「トラクション(駆動力)の追求」という、モータースポーツのDNAが今も生きている

2026年F1参戦 ──「勝つため」の本気

2025年11月、アウディは2026年F1参戦マシン「R26コンセプト」のカラーリングを発表した。

アウディAGのCEO ゲルノート・デルナーは明言した。「私たちはF1にただ参加するのではありません。勝つために参入します」

この姿勢こそ、アウディが「技術で先を行く」ことに執着する理由だ。

48V MHEVplus ──内燃エンジンの未来

2025年春に日本導入される新型A5/A5 Avantには、「48V マイルドハイブリッド plus」という新技術が搭載される。

これは従来の48Vシステムよりも強力な電動アシストで、発進時のレスポンス向上と燃費改善を両立。アウディは「EV一辺倒ではなく、内燃エンジンの進化も追求する」という現実的な戦略を取っている。

3社の設計思想を表で比較する

項目 BMW メルセデス・ベンツ アウディ
設計哲学 駆け抜ける歓び
(ドライバーオリエンテッド)
最高か無か
(安全と快適性の最大化)
技術による先進
(Vorsprung durch Technik)
駆動方式の基本 FR(後輪駆動)ベース
→ 重量配分50:50へのこだわり
FR / FF(モデルにより)
→ 快適性と安全性の両立
縦置きFF + quattro
→ トラクション最優先
足回りの特徴 “しっとり硬い”
→ ブッシュ設計で路面追従性
“フワッとする”
→ サブフレームで振動吸収
“鼻が重い”
→ エンジン前配置の宿命
電動化戦略(2025年) ノイエ・クラッセ
(EV専用プラットフォーム)
+ CLAR2(内燃/EV共用)
MMAプラットフォーム
(EV/内燃両対応)
「ダブルプラットフォーム戦略」
PPE/MEB
(段階的EV化)
+ 48V MHEVplus継続
UI設計思想 物理スイッチ併用
→ 運転に集中できる環境
スーパースクリーン
→ 視覚的な情報の豊かさ
MMI + AR表示
→ 先進技術の見せ方
2025年の象徴的技術 Heart of Joy
(ダイナミクス制御)
4つのスーパーブレイン
リアアクスルステアリング
ウェルネス機能
超急速充電
48V MHEVplus
F1参戦
Strive for Clarity
こんな人に合う 運転そのものを楽しみたい
「操る歓び」を求める人
移動を快適に過ごしたい
「安心感」を求める人
最新技術に触れたい
「先進性」を求める人
重要: この表は「絶対的な優劣」ではなく、「設計思想の違い」を示している。
どのメーカーも、その哲学に基づいて最高のクルマを作っている。あなたが何を求めるかで、「最良の選択」は変わる

電動化時代──それぞれの哲学は生き残るのか?

2025年、ドイツ御三家はすべて「電動化とエンジン車の両立」という現実的な道を選んだ。

BMWは、ノイエ・クラッセという EV専用プラットフォームを作りながらも、CLAR2で内燃エンジンも継続。
ベンツは、MMAで「EV版」と「エンジン版」を同時に開発する「ダブルプラットフォーム戦略」。
アウディは、48V MHEVplusで内燃エンジンの進化も追求しながら、EV化を段階的に進める。

しかし、動力源が変わっても、各社の設計哲学は変わらない

BMWの iX3 は「Heart of Joy」でドライビング・ダイナミクスを追求し、
ベンツの新型CLA は「革命的な快適性」を実現し、
アウディは F1 で「技術の先進性」を証明しようとしている。

結論:あなたに合うドイツ車は?

「ドイツ車」と一括りにしても、BMWとベンツとアウディは、まるで違う惑星で作られたかのように性格が違う

その違いは、スペック表には現れない。
カタログ上は同じ2.0L 4気筒ターボでも、BMWは「回す楽しさ」を、ベンツは「静かな力強さ」を、アウディは「精密な制御」を追求している。

あなたが「運転する歓び」を求めるなら、BMW。
「移動の快適さ」を求めるなら、ベンツ。
「最新技術への憧れ」を求めるなら、アウディ。

どれが優れているか、ではない。
あなたの価値観と、どのメーカーの哲学が共鳴するか──それが、本当の「最良の選択」だ。

このブログでは、今後も3社の技術的な違いを、エンジン、足回り、ボディ、電子制御まで、徹底的に掘り下げていく。

次回は「BMW B47 vs ベンツ OM654 vs アウディ 40TDI |ディーゼルエンジンの設計思想の決定的な違い」をお届けする。

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