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BMW アダプティブMサスペンション vs ベンツ AIRMATIC vs アウディ アダプティブエアサスペンション|乗り心地と操縦性の両立は可能か






BMW アダプティブMサスペンション vs ベンツ AIRMATIC vs アウディ アダプティブエアサスペンション|乗り心地と操縦性の両立は可能か


最終更新日:2025年12月

BMW アダプティブMサスペンション vs ベンツ AIRMATIC vs アウディ アダプティブエアサスペンション|乗り心地と操縦性の両立は可能か

「ふわふわの乗り心地か、カチカチのスポーツ性か」──かつてのサスペンションは、この二者択一を迫られた。しかし2025年、ドイツ御三家の電子制御サスペンションは「両立」を実現した

BMWのアダプティブMサスペンションは「スティールスプリング+電子制御ダンパー」、メルセデスのAIRMATICは「エアサスペンション」、アウディのアダプティブエアサスペンションも「エアサスペンション」──同じ「電子制御」でも、アプローチは全く異なる。

この記事では、自動車エンジニアの視点から、「乗り心地と操縦性の両立は本当に可能なのか」を徹底解説する。

目次

基本スペック比較|スティール vs エアの決定的な違い

項目 BMW アダプティブM ベンツ AIRMATIC アウディ アダプティブエアサス
スプリング方式 スティールスプリング
(コイルスプリング)
エアスプリング エアスプリング
ダンパー制御 電磁バルブ
(ミリ秒単位)
CDC(連続可変制御)
+エアスプリング
CDC(連続可変制御)
+エアスプリング
車高調整 不可
(固定車高)
可能
(自動+手動)
可能
(AllroadモードLiftモード)
応答速度 数ミリ秒 数ミリ秒 5ミリ秒ごと
制御モード Comfort / Sport Comfort / Sport / Auto Comfort / Auto / Dynamic
Allroad / Lift(一部モデル)
自動レベリング なし あり
(積載量に応じて自動調整)
あり
(積載量に応じて自動調整)
重量増加 約20kg 約60kg 約50kg
メンテナンスコスト
(通常のショック交換)

(エアバッグ・コンプレッサー)

(エアバッグ・コンプレッサー)
エンジニアの視点:スティールスプリングとエアスプリングは、根本的に設計思想が違う。BMWは「スポーツ性を犠牲にせず、乗り心地を改善」、ベンツ・アウディは「乗り心地を最優先し、スポーツ性も確保」という正反対のアプローチ。

設計思想の決定的な違い|スティール vs エアの哲学

BMW アダプティブMサスペンション:「スティールの限界を極める」

BMWは、あえてエアサスを採用しない。理由は明確だ:スティールスプリングの方が、応答性とダイレクト感が上だから。

構造:

  • スティールスプリング: 従来型コイルスプリングを使用
  • 電子制御ダンパー: 電磁バルブで減衰力を無段階調整
  • 強化アクスル: Mモデルは専用設計(太いスタビライザー、硬いブッシュ)

動作原理:

  • ダンパーピストン内の電磁バルブが開閉
  • バルブ開:オイル流量大 → 減衰力小(乗り心地優先)
  • バルブ閉:オイル流量小 → 減衰力大(スポーツ性優先)
  • センサーが路面・加速度・ステアリング角を監視し、ミリ秒単位で調整
BMWの徹底したMチューニング:

  • 前後アクスル再設計: M5の場合、フロントはワイドトレッド・大キャンバー・低ロールセンター
  • リア強化: 太スタビライザー、硬いウィッシュボーン、硬いゴムブッシュ
  • ボディ剛性向上: 前後にクロスブレース追加

メルセデス AIRMATIC:「高級車の乗り心地を追求」

メルセデスのAIRMATICは、「S-クラスの乗り心地」を全車種に広げるための技術だ。

構造:

  • エアスプリング: ゴム+プラスチック製のエアバッグ
  • エアコンプレッサー: 18bar(5.8リットル)の圧縮空気を供給
  • アダプティブダンパー: CDCで減衰力を連続可変
  • 車高センサー: 各輪の高さを監視

動作原理:

  • 自動レベリング: 積載量に応じて、常に一定の車高を維持
  • 速度連動車高調整: 高速走行時は自動で15mm下降(空力改善)
  • 荷重分散: エアスプリングで4輪均等に荷重分散
AIRMATICの最大の利点:

  • 自動レベリング: 5人乗車+荷物満載でも、車高が変わらない
  • 乗り心地の良さ: エアスプリングが細かい振動を吸収
  • 高速安定性: 自動で車高を下げ、空力性能向上

アウディ アダプティブエアサスペンション:「多用途性の追求」

アウディのエアサスは、「オンロードからオフロードまで」を想定した設計だ。

構造(ベンツとほぼ同じ):

  • エアスプリング: 4輪独立制御
  • CDC(continuous damping control): 電磁バルブで減衰力調整
  • 車高調整: 最大50mm(Allroad + Liftモード)

アウディ独自の機能:

  • Allroadモード: 35mm車高アップ(80km/h以下で作動)
  • Liftモード: さらに10mm追加(悪路・雪道用)
  • Audi drive select: Comfort / Auto / Dynamic / Allroad / Individualで切り替え
アウディの特徴:

  • オフロード対応: Allroadモデルは悪路走破性重視
  • 最大50mm車高アップ: ベンツよりも大幅な可変幅
  • quattroとの連携: エアサス+4WDで悪路性能向上

シチュエーション別性能比較|どこで差が出るのか

日常使用:街乗り・通勤

システム 評価 理由
BMW アダプティブM ★★★☆☆ Comfortモードでも、やや硬め。段差で若干ゴツゴツ感あり。スポーツカー的な感触
AIRMATIC ★★★★★ エアサスの柔らかさが光る。段差を完全に吸収。S-クラス的な乗り心地
Audiエアサス ★★★★☆ AIRMATICよりやや硬めだが、十分快適。バランス型
エンジニアの視点:日常使用ではAIRMATICが圧倒的。エアスプリングは、細かい振動を吸収する能力が高い。BMWは「スポーツ性を犠牲にしない」ため、やや硬め。

ワインディング・峠道:ハンドリング性能

システム 評価 理由
BMW アダプティブM ★★★★★ Sportモードでカチッとした感触。ロールが少なく、ダイレクト感抜群。M340i/M3で真価発揮
AIRMATIC ★★★☆☆ Sportモードでも、エアサス特有の「少しフワつく感覚」。AMGモデルなら改善
Audiエアサス ★★★★☆ Dynamicモードでしっかり。S4/RS4なら互角だが、BMWには一歩譲る
エンジニアの視点:ワインディングではBMWのスティールスプリングが有利。応答速度とダイレクト感で、エアサスには真似できない「地面との一体感」がある。

長距離・高速道路:快適性

システム 評価 理由
BMW アダプティブM ★★★★☆ 高速では快適。ただし、路面の継ぎ目で若干ゴツゴツ
AIRMATIC ★★★★★ 高速で自動車高下降。静粛性・安定性が抜群。長距離疲労が最小
Audiエアサス ★★★★☆ AIRMATICと同等だが、若干風切り音が大きい(車種による)

悪路・雪道:オフロード性能

システム 評価 理由
BMW アダプティブM ★★☆☆☆ 車高固定のため、地面を擦るリスク。オフロード非対応
AIRMATIC ★★★★☆ 車高アップ可能だが、主にSUVモデルのみ。オフロード性能は限定的
Audiエアサス ★★★★★ Allroad + Liftで最大50mm車高アップ。quattroと合わせて、本格オフロード対応
エンジニアの視点:悪路ではAudiエアサスが圧倒的。A6 allroad、Q7等は「都市部でも快適、悪路でも安心」を実現。BMWは完全にオンロード専用。

信頼性とメンテナンス|長期所有のコスト

BMW アダプティブMサスペンション:低コスト

故障事例:

  • 電磁バルブ故障: 10万km前後で発生する可能性(稀)
  • ショックアブソーバー劣化: 15万km前後で交換(通常のショックと同じ)

交換コスト:

  • ショック4本交換:約20-30万円(社外品なら10万円台)
  • 電磁バルブ交換:約5万円/1本

結論: 通常のショックとほぼ同じメンテナンスコスト。エアサスより圧倒的に安い。

メルセデス AIRMATIC:高コスト

故障事例:

  • エアバッグ破損: 8-12万kmで発生(最も多い故障)
  • コンプレッサー故障: 10-15万kmで交換必要
  • バルブブロック故障: 配管の腐食・劣化

交換コスト:

  • エアバッグ1本:約10-15万円(工賃込み)
  • コンプレッサー:約15-25万円
  • バルブブロック:約10万円
  • 最悪のケース(全交換): 60-80万円

結論: 高額。10年・15万km超えたら、コイルスプリング変換キットも選択肢(約30万円)。

アウディ アダプティブエアサスペンション:ベンツと同等

故障事例:

  • AIRMATICとほぼ同じ(エアバッグ、コンプレッサー、センサー)
  • A6 allroad、Q7等は使用頻度が高く、故障率やや高め

交換コスト:

  • AIRMATICと同等(エアバッグ約10-15万円、コンプレッサー約20万円)

結論: エアサスである以上、メンテナンスコストは高い。長期所有なら覚悟が必要。

エンジニアの視点:エアサスは「高級車の乗り心地」を提供するが、メンテナンスコストは通常の3-5倍。10年以上乗るなら、BMWのスティールスプリングが経済的。

結論|目的別おすすめサスペンション

「スポーツ走行・ワインディング重視」→ BMW アダプティブMサスペンション

理由:

  • スティールスプリングのダイレクト感が最高
  • 応答速度が速く、コーナーでのロールが少ない
  • メンテナンスコストが低い

推奨モデル: BMW M340i、M3、M5(Adaptive M標準)

「最高の乗り心地・高級感」→ メルセデス AIRMATIC

理由:

  • エアサスの柔らかさが光る
  • 自動レベリングで常に快適
  • 高速走行時の静粛性が最高

推奨モデル: Mercedes S-Class、E-Class、GLE(AIRMATIC標準)

「オンロード+オフロード両立」→ アウディ アダプティブエアサスペンション

理由:

  • 最大50mm車高アップでオフロード対応
  • quattroと合わせて、悪路走破性抜群
  • 日常使用でも快適

推奨モデル: Audi A6 allroad、Q7、Q8(Adaptive Air標準/オプション)

「コスパ重視・長期所有」→ BMW アダプティブMサスペンション

理由:

  • メンテナンスコストが圧倒的に低い
  • 15万km以上でも交換費用20-30万円
  • 故障リスクが低い

推奨モデル: BMW 330i、X3 M40i(Adaptive M標準/オプション)

まとめ|「乗り心地と操縦性の両立」は可能だが…

BMW、メルセデス、アウディ──3社とも「乗り心地と操縦性の両立」を実現した。しかし、そのアプローチは全く異なる。

BMWは「スポーツ性を犠牲にせず、乗り心地を改善」、メルセデスは「乗り心地を最優先し、スポーツ性も確保」、アウディは「多用途性を追求」。

あなたが求めるのは「ワインディングでの限界性能」なのか、「S-クラス的な乗り心地」なのか、それとも「オフロードも走れる万能性」なのか。その答えが、あなたにとっての「最高のサスペンション」を教えてくれる。

参考:本記事の情報は2025年12月時点のものです。モデルによって搭載されるサスペンションが異なる場合があります。購入前にディーラーで確認することを推奨します。


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