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旧車イベントで聞いた|なぜメルセデス190E(W201)は今も愛されるのか?|5リンク式サスペンション、セナ伝説、過剰品質の時代
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先日、旧車イベントに行った。
驚いたのは、メルセデス190E(W201)の多さだ。
30年以上前の車なのに、10台以上が集まっていた。しかも、どのオーナーも目をキラキラさせて190Eの魅力を語ってくれた。
コスワース2.5-16のオーナー、190E 2.6のオーナー、190D(ディーゼル)のオーナー——
なぜ彼らは、今も190Eに乗り続けるのか?
話を聞くうちに、わかった。190Eは「ただの古い車」じゃない。「最後の質実剛健メルセデス」であり、「30年経っても色褪せない名車」なのだ。
この記事では、旧車イベントで聞いた話を中心に、190Eが今も愛される理由を語る。
1. メルセデス190E(W201)とは?
基本スペックと歴史
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コードネーム | W201 |
| 生産期間 | 1982-1993年(11年間) |
| ボディサイズ | 全長4,420mm × 全幅1,678mm × 全高1,385mm |
| 車両重量 | 1,200-1,350kg |
| エンジン | 直4 1.8L / 2.0L / 2.3L / 2.5L / 2.6L、直4ディーゼル 2.0L / 2.5L |
| デザイナー | ブルーノ・サッコ |
| 愛称 | Baby Benz(初のコンパクトメルセデス) |
190Eの歴史的意義
1982年: メルセデス初のコンパクトモデルとして登場
1983年: 190E 2.3-16(コスワース)発売、DTM参戦
1984年: ニュルブルクリンクでアイルトン・セナが190Eで優勝
1988年: 190E 2.5-16 Evolution登場(DTM homologation)
1990年: 190E 2.5-16 Evolution II登場(DTM最終進化)
1993年: 生産終了、後継はCクラス(W202)
190Eは、メルセデスがBMW 3シリーズに対抗するために開発した。しかし、結果的に「3シリーズを超える名車」として歴史に残った。
2. なぜ190Eは今も愛されるのか?——深い理由
理由①:5リンク式リアサスペンションの革命性
190Eの最大の技術的特徴は、5リンク式リアサスペンションだ。
🔧 5リンク式リアサスペンションとは?
構造:
・5本のリンク(アーム)でリアアクスルを支持
・各リンクが独立して動く
・トー角、キャンバー角を精密に制御
何が革命的だったのか?
1982年当時、他社は「マクファーソンストラット」や「ダブルウィッシュボーン」が主流。メルセデスは「5リンク式」という独自の道を選んだ。
メリット:
①コーナリング時のトー変化を抑制:旋回時に後輪が理想的な角度を保つ
②乗り心地と操縦安定性の両立:硬すぎず、柔らかすぎない
③左右独立懸架:片輪が段差を乗り越えても、もう片方は影響を受けない
現代への影響:
・BMW 3シリーズ(E90以降)が5リンク式を採用
・アウディ A4(B8以降)も5リンク式
・メルセデス Cクラスも継承
つまり、190Eの5リンク式は「現代のスタンダード」になった。
💬 オーナーの声①:「このサスペンションが全て」
190E 2.6オーナー(50代男性)
「190Eを30年乗ってるけど、このサスペンションの感覚は他の車では味わえない。段差を乗り越えた時の『しっとり』した動き、コーナリング時の『ピタッ』と路面に吸い付く感じ。現代の電子制御サスより、よっぽど気持ちいい」
理由②:アイルトン・セナとDTMの伝説
190Eを語る上で、レース史は外せない。
🏁 1984年:アイルトン・セナの伝説
背景:
1984年、メルセデスは190Eのプロモーションとして、ニュルブルクリンクで「ワンメイクレース」を開催した。
参加者は、F1ドライバー20人。全員がまったく同じ190E 2.3-16に乗る。
結果:
・1位:アイルトン・セナ(当時F1デビュー1年目)
・2位:ニキ・ラウダ(3度のF1ワールドチャンピオン)
・3位:カルロス・ロイテマン
セナのコメント:
「190Eは、ニュートラルなハンドリングで、非常にバランスが良い。F1マシンとは違うが、運転していて楽しい車だ」
この伝説が、190Eの名声を決定づけた。
🏁 DTM(ドイツツーリングカー選手権)の黄金時代
1984-1993年: 190EはDTMで活躍
190E 2.3-16 Cosworth(初代):
・直4 2.3L、185ps
・コスワース製16バルブヘッド
・BMW M3(E30)と激闘
190E 2.5-16 Evolution(1989):
・直4 2.5L、204ps
・ワイドフェンダー、リアウイング
・500台限定(ホモロゲーション)
190E 2.5-16 Evolution II(1990):
・直4 2.5L、235ps
・さらに過激なエアロ
・502台限定
DTMでの戦績:
・1992年:クラウス・ルートヴィヒがドライバーズチャンピオン獲得
・BMW M3との伝説的なバトル
💬 オーナーの声②:「コスワースは別格」
190E 2.3-16 Cosワースオーナー(60代男性)
「これは人生で最高の車。7,000rpmまで回る直4エンジン、コスワースのシャープな吹け上がり、5リンク式サスの安定感。30年前の車とは思えない。維持費は年間100万円かかるけど、手放せない」
理由③:「最後の過剰品質メルセデス」という神話
190E(W201)とW124は、「最後の過剰品質メルセデス」と呼ばれる。
🔧 過剰品質とは何か?
1980年代のメルセデス哲学:
「コストより品質。100年使える車を作れ」
具体例:
①ドアヒンジ:削り出し、重厚、100万回開閉を想定
②ボディ剛性:「戦車のような剛性感」、閉めるとドスンと重い音
③防錆処理:亜鉛メッキ、下回り徹底防錆、30年経っても錆びない個体が存在
④エンジン耐久性:50万km、100万kmが当たり前
⑤シンプルな電装:故障箇所が少ない、自分で整備可能
なぜ「最後」なのか?
・1990年代以降、コストカット開始
・W202(初代Cクラス)から品質低下
・電子制御が増え、複雑化
・「100年使える」から「10年で買い替え」へ
190Eは、その「最後の時代」の結晶。
オーナーが語る「過剰品質」の実感:
・「30年前の車なのに、今でもドアがピシャッと閉まる」
・「エンジンが壊れない。20万km超えても調子いい」
・「錆びない。下回りが綺麗なまま」
・「内装が劣化しない。シートもダッシュボードもしっかりしてる」
理由④:アナログの操作感覚——現代の車にはない魅力
190Eは、電子制御がほとんどない。これが、逆に魅力になっている。
🔧 アナログの魅力
①油圧パワーステアリング
・電動パワステではない
・路面からのフィードバックがダイレクト
・「重さ」が心地よい
②ケーブル式スロットル
・電子制御スロットルではない
・アクセルペダルとスロットルバルブが直結
・反応が素直、遅延なし
③ABSすらオプション
・初期型はABSなし
・後期型でもオプション
・「自分の足でブレーキングする」感覚
④トラクションコントロールなし
・ESP、TCSなし
・ドライバーが全てをコントロール
・「車を操っている」実感
⑤シンプルな計器類
・液晶画面なし
・速度計、回転計、燃料計、水温計だけ
・視認性◎、故障しない
💬 オーナーの声③:「現代の車は運転してる感じがしない」
190E 2.6オーナー(40代男性)
「現代の車は、電子制御だらけ。アクセル踏んでも、コンピューターが介入して、ワンテンポ遅れる。ステアリングも軽すぎて、路面の感触がない。190Eは違う。全部、ダイレクト。自分で車を操ってる感じがする」
理由⑤:旧車コミュニティと所有する喜び
190Eオーナーたちは、濃いコミュニティを形成している。
旧車イベントで感じたこと:
・190Eオーナー同士、初対面でも仲良くなる
・整備のノウハウを共有し合う
・「レストアの楽しさ」を語り合う
・「30年前の車を現役で走らせている」という誇り
💬 オーナーの声④:「190E乗りは仲間」
190D(ディーゼル)オーナー(50代男性)
「190Eのオーナーって、みんな濃いんですよ(笑)。旧車イベントで会うと、初対面でも『あ、190Eですね!』って話しかける。整備の情報交換したり、部品譲り合ったり。現代の車では、こんなコミュニティはない」
所有する喜び:
・「30年前の車を現役で走らせている」達成感
・レストアの楽しさ(DIY可能、部品も出る)
・現代のメルセデスにない「硬派さ」
・「時代を超えた普遍性」(30年経っても古臭くない)
理由⑥:なぜBMW E30ではなく、190Eなのか?
190Eのライバルは、BMW 3シリーズ(E30)だった。しかし、190Eを選ぶ人には理由がある。
| 項目 | メルセデス 190E | BMW 3シリーズ(E30) |
|---|---|---|
| サスペンション | 5リンク式(革命的) | セミトレーリングアーム |
| 剛性感 | 「戦車のような剛性」 | 軽快、しなやか |
| 乗り味 | しっとり硬い | 軽快、スポーティ |
| 耐久性 | 50万km余裕 | 30万kmで要オーバーホール |
| 価格(中古) | 50-150万円 | 80-200万円(M3は高騰) |
| 部品供給 | 豊富(メルセデスクラシックセンター) | 豊富(BMWクラシック) |
| 整備性 | DIY可能 | DIY可能 |
190Eを選ぶ理由:
①5リンク式サスペンションの感動:E30のセミトレより洗練
②剛性感・重厚感:「メルセデスらしさ」
③耐久性:50万km走る、錆びない
④価格:E30より安く買える(M3除く)
⑤「最後の過剰品質」という神話:所有欲を満たす
💬 オーナーの声⑤:「E30も良いけど、190Eは別格」
190E 2.6 & BMW E30 325i 両方所有(50代男性)
「E30も名車。軽快で楽しい。でも、190Eの『重厚感』『剛性感』は別格。ドアを閉めた時の音、高速でのどっしり感、30年経っても壊れない安心感。E30は『軽快なスポーツカー』、190Eは『質実剛健な相棒』って感じ」
3. 維持費のリアル——年間いくらかかる?
旧車イベントで聞いた、リアルな維持費。
年間維持費の内訳
| 項目 | 年間費用 | 備考 |
|---|---|---|
| 自動車税 | 約4.5万円 | 2.0L以下:39,500円、2.5L以下:45,000円 |
| 車検(2年に1回) | 約10万円/年 | 基本料金+交換部品代 |
| 任意保険 | 約8万円 | 旧車専用保険あり |
| オイル交換 | 約2万円 | 年2回 |
| 消耗品交換 | 約5-10万円 | タイヤ、ブレーキパッド、バッテリーなど |
| 突発修理 | 約5-20万円 | 年によって変動 |
| 燃料代 | 約15万円 | 年間10,000km、実燃費10km/L、ハイオク155円 |
| 合計 | 約50-70万円 | コスワースは年間100万円超えることも |
よくある修理・交換項目
消耗品(定期交換):
・オイル交換:5,000km or 半年ごと(1万円/回)
・ブレーキパッド:2-3万km(前後で5万円)
・タイヤ:4-5年(4本で8-12万円)
・バッテリー:3-4年(2-3万円)
よくある故障:
・燃料ポンプ:10-15年(5-7万円)
・ラジエーター:15-20年(8-12万円)
・パワステポンプ:15-20年(10-15万円)
・サスペンションブッシュ:10-15年(前後で15-20万円)
・エアコンコンプレッサー:15-20年(10-15万円)
大物修理(稀):
・エンジンオーバーホール:50-100万円
・トランスミッションオーバーホール:40-80万円
・全塗装:80-150万円
💬 オーナーの声⑥:「維持費は覚悟の上」
190E 2.6オーナー(50代男性)
「年間50-70万円は覚悟してる。でも、現代の輸入車を新車で買うより安い。しかも、自分で整備できる部分も多いから、楽しい。部品も、メルセデスクラシックセンターから取り寄せられる。愛情を注げば、ちゃんと応えてくれる車」
4. 190Eを買うべき人・やめるべき人
190Eを買うべき人
- 5リンク式サスペンションの感動を味わいたい
- 「最後の過剰品質メルセデス」を所有したい
- アナログの操作感覚が好き
- 旧車コミュニティに参加したい
- DIY整備を楽しみたい
- 年間50-70万円の維持費を許容できる
- 30年前の車を現役で走らせる達成感が欲しい
- E30より重厚な車が好き
190Eをやめるべき人
- 維持費を抑えたい:年間50-70万円は高い
- 故障リスクを避けたい:30年前の車、いつ壊れてもおかしくない
- 最新の安全装備が欲しい:エアバッグすらオプション
- 快適装備重視:エアコン効かない、パワーウィンドウ遅い
- DIY整備できない:全て業者任せだと維持費100万円超
- 駐車場がない:屋外駐車は劣化が早い
5. 中古車市場の現状——190Eは今、いくらで買える?
| グレード | 価格帯 | 状態 |
|---|---|---|
| 190E 1.8 / 2.0 | 50-100万円 | 程度良好、走行10-15万km |
| 190E 2.3 / 2.6 | 80-150万円 | 程度良好、走行8-12万km |
| 190D(ディーゼル) | 60-120万円 | 程度良好、走行15-20万km |
| 190E 2.3-16 Cosworth | 300-600万円 | 程度による、走行5-10万km |
| 190E 2.5-16 Evolution | 800-1,500万円 | 超希少、程度良好なら高騰 |
| 190E 2.5-16 Evolution II | 1,500-3,000万円 | 超希少、投機対象 |
購入時の注意点:
・錆チェック:下回り、ドア下、フェンダー内
・エンジン異音:アイドリング時の異音確認
・整備記録簿:過去の修理履歴を確認
・試乗必須:5リンク式サスの感触を確認
・専門店で購入:旧車専門店orメルセデス専門店
まとめ
- 5リンク式リアサスペンション:1982年に革命、現代のスタンダードに
- アイルトン・セナとDTM:レース史に残る伝説
- 最後の過剰品質メルセデス:100年使える設計思想
- アナログの操作感覚:油圧パワステ、ケーブル式スロットル
- 旧車コミュニティ:濃い仲間、所有する喜び
- E30との違い:重厚感、剛性感、耐久性
- 維持費:年間50-70万円(コスワースは100万円超)
- 中古価格:50-150万円(コスワースは300-600万円)
190Eは、「ただの古い車」じゃない。
旧車イベントで出会ったオーナーたち——彼らの目は、キラキラと輝いていた。
30年前の車を、今も現役で走らせる。維持費は年間50-70万円。故障リスクもある。
でも、彼らは言う。「190Eは相棒だ」と。
5リンク式サスペンションの感動、アイルトン・セナの伝説、最後の過剰品質、アナログの操作感覚——
これらは、現代の車では絶対に味わえない。
車は「道具」から「相棒」になる。
それが、190Eが今も愛される理由だ。
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